辻村深月 傲慢と善良レビュー

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人間の、特に女のいやらしさを丁寧に描いた作品

文庫本の表紙絵、あらすじからは恋愛小説を想像していましたがいい意味で裏切られました。

登場人物の心情を丁寧に描写した、現代人を描く重い作品です。

話のすり替え、嘘の暴露、滲み出る悪意。女性作者が書く女の描写は男には描けないですね。

結婚できない人にも読んでほしい

婚活がベースにあります。なぜあんな条件のいい人が残っているのか。

婚活中で相手を知り切れない、すぱっと線を引いてしまう人には耳の痛い言葉もありますが、納得の一言。

したい人、決めきれない人の想いの違いにはっとさせられます。

善良なあなたも、あの人の前では傲慢に転ずる

いい子は自分で何も決められない子。傍から見れば善良に映る。

善良なあの子も誰かと対峙するとき、相手に点数をつける。

自分の価値を過大評価して、他者を低く評価する。

相手のことなんて大して知らないくせに。

他者に対しては傲慢になってしまう。

本作では真美と架、彼らに関わる人を通じて人間の善良さ、傲慢さが丁寧に描かれる。

これは誰にでも当てはまることで胸が締め付けられました。

いい子だった真美が結婚真近に失踪した理由とは、選んだ次の場所は、最後に下した結論は。。

私にとって辻村深月の最初の作品が本書でしたが、著者の別作品も読みたくなりました。

もうファンですね。

考えさせられる一冊ですのでぜひどうぞ!

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この記事を書いた人

HSP、多汗症に悩まされる。仕事をがんばるも適応障害となり休職。現在も復職した会社で就業中。復職は果たすが元通りの体調とはいかず、人間関係がストレスの種。親知らずの抜歯で入院とトラブルが絶えない30代。なにもかも面倒、髪を切るのも面倒でセルフカットに目覚める。
社会の理不尽、人間不信をこじらせる。ネットの情報もあてにならない為、自分の経験したことをこのブログで記していきます。誰かに届け。

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