
文庫本として売り出されていたので気になって購入。
昔見たドラマとは少し印象が違いました。
読み物、エンタメとしては面白くすらすらとページをめくり読み進められました。
突っ込みどころもありました。
あらすじ
誠治は新卒で入社した会社をまるで宗教のようだと3カ月で辞める。
その後はバイトを転々とし、家ではゲーム三昧。親のすねをかじるくせに
母親には強く当たるどうしようもない体たらく。
そんな折、母親の様子がおかしいことに嫁に出た姉からの指摘によってはじめて気づく。
父、誠一も妻の異変には全く気付かなかった。
酒癖が悪く、周りを理解しようとしない父には無理な話だった。
母は重度のうつ病だった。
それも原因は誠一の酒癖の悪さが招いたことだった。
母親の世話を父とすることで自分を見つめ直す誠治。
バイト、就活、就職を通じで考え方が変わっていく。
過去の自分の甘えに気づく。
弱いと言われていた母が実は誰よりも強く華族を守っていたことをしる。
家族を切り捨てない。
誠治が下した結論は。。。
強さと弱さ
母の寿美子はうつ病を患い、誠一から心が弱いからだと切り捨てられる。
寿美子は誠一の酒癖の悪さから近所にいじめられるようになったことが主因だ。
20年告白せずに耐え忍んだが、とうとう壊れた。
これを心が弱いというのだろうか。
我慢の限界はだれにでも訪れる。そう、自分にも。
一報原因を作った誠一は自分のせいだとは全く知らなかった。
強い人間ではなく、だだ鈍感なだけなのに強い側として振る舞う。
弱者を強く攻撃する。本当は弱い人間。
やさしい人は損をする社会?
母の寿美子は弱者の象徴として描かれる。
心配させまいと一人で抱え込んだ彼女はうつ病になった。
どうして優しい人ばかりが損をするのだろうか。
この小説にはそんなテーマが込められているのではないか。