
近未来の2040年が舞台。母を亡くした30歳の青年、朔也/さくや(童貞)が主役。
AIによってVF(ヴァーチャルフィギュア)として顕在した<母>との会話から孤独の自分の心を埋めようとする。
<母>は朔也との会話、旅館の同僚三好との会話、ニュースなどの自主学習、自由死を願う元大学教授との会話から
母に近づいていく。
自由死を願った母の本心を<母>はその口から語ることはあるのか。
母の死をめぐり、朔也をとりまく人間との関係の進展から、彼は自身と日本社会の現実を理解する。
死の一瞬前
現代社会に生きる我々が一度考えるべき死とそれをとりまく社会。
我々の住むこっちの世界と金持ち達のあっちの世界。
同じ人間のはずなのにどうしてこうも違うのか。
死の一瞬前に人は何を思うのか。誰といたいと願うのか。
自由死が普通の時代になったとき、あなたの死の一瞬前はどんな景色でしょうか。
印象的な描写
なんの為に存在しているのか?その理由を考えることで、確かに人は、自分の人生を模索する。
僕だって、それを考えている。けれども、この問いかけには、言葉を見つけられずに口籠もってしまう人を燻り出し、恥じ入らせ、生を断念するように促す人殺しの考えが忍び込んでいる。
勝ち誇った傲慢な人間たちが、ただ自分たちにとって都合のいい、役に立つ人間を選別しようとする意図が紛れ込んでいる!僕はそれに抵抗する。
いかがでしょうか。
生と死、現代の問題が丁寧に描かれている本書をぜひ読んでほしい。







