入社半年での心と体の変化
入社して毎月残業した。毎日緊張していたが、戦力になろうと必死だった。
残業しているのは自分だけではない。同じ部署の皆も同様だった。
これがこの部署の普通なのだ、仕方のないことなのだと思い込んだ。
他の部署を羨むとか気を抜くとミスが出る。雑念を捨て業務に集中していた。気持ちを張り詰めていないとついていけない。それくらい業務量が多く、また、ミスが許されない仕事だった。
平日の朝起きて朝食を済ませ家を出る1時間程度の時間だけ妻と子ども達の顔を見れた。
夜家に帰れば11時を回り当然皆寝ている。夕飯の残りだけがテーブルに置いてある。
妻も働いている。妻は帰宅後夕飯を作り、子ども達を風呂に入れ寝かしつけまで一人でこなしていた。
妻の疲労が酷いときは洗われていない食器がシンクに溢れ、取り込んだ洗濯物が放り投げられた状態で残っていた。
私は遅い夕飯を済ませ、食器を洗い、洗濯物をたたみ、風呂に入って午前1時過ぎに寝る。
翌朝6時に起きて職場に行く。それの繰り返しだ。時間が経つにつれ、そんな生活に何の疑問も思わなくなった。
入社半年程経過し、毎日下痢をするようになった。
元々人目を気にしやすい性格の為、おなかを下すことは多々あった。ただ、毎日ではなかった。精神的な原因が思い当たるものだったが、今回は違った。
理由はわからず毎日の下痢。我慢すればそのうちに治ることだと思いそのままにした。
暫くすると下痢の状態が普通になってしまい何も思わなくなった。
悪い意味で慣れてしまった。毎日下痢でいることに。長時間労働することに。
顧客第一の魔法にかかっていた。昼食を抜くことも多々ある。昼食が午後四時になることも何度もある。
異常だとはわかっていたがやるしかないと思っていた。雇われている以上、組織に合わせなければならないと。
蓄積されたストレス メニエール病
前に勤めた会社は長時間労働ではないが、人間関係に悩まされていた。ストレスがあった。
ある年のゴールデンウイーク終盤、朝起きて顔を洗ってソファーに腰掛ける。立ち上がろうとした瞬間、ぐるぐると目が回った。立ってられず崩れるように倒れた。急速に吐き気を催し、這ってトイレで戻した。
数日前から耳が詰まった様な感じがあったが放っておいた。病院ではメニエール病疑いといわれた。
睡眠不足、気圧の変化、ストレスが考えられるということだ。これが初めての目眩。その後、服薬により症状は改善した。
下痢を発症し、さらに半年が経過した。入社して丸一年。あいかわらず毎日下痢。そしてこの頃から週に何度か頭痛を催す様になった。バファリンを常備した。服薬すると症状はその日は治まる。
頭痛が発症してから数週間後、早朝に目が覚めるようになった。目が覚めると再度眠ることができなかった。寝たくても寝れない。うまく睡眠がとれなくなってから吐き気を催すまで時間は掛からなかった。吐き気が止まらなくなった。頭痛もする。下痢もする。
朝家族で朝食の席を囲んでいるとき、妻が私に言った。
「なんで白目むいてるの?」
自分ではそんなつもりなかった。普通に座っていただけだ。怖くなった。この状態になって初めてまずいことになっていると認識した。
妻の勧めで心療内科を受診することにした。